旬の菊を、「いただきます」。

2020.10.14 更新

    今年は、見事なまでに美しい中秋の満月を楽しんだ方も多いのではないでしょうか?
    さあここから、2020年エンディングに向けてさらに日々を充実させていきましょう。キーワードは、自然とともにリラックス。今年は新暦10月25日にやってくる「重陽(ちょうよう)の節句」ですが、今日は「旬の菊を食べる」アイデアをお伝えします。

    菊は、和のエディブルフラワー。
    上品な香りとほろ苦さから、大人の贅沢。

    外食控えめの今年ですが、そんな時期こそ日常では使わない食材を自宅の食卓に取り入れるのも一計。見た目も味も「ちょっと非日常」にすることで、暮らしにメリハリが出てきます。
    そんな「非日常食材」として楽しんでいただきたいのが、最近は身近なスーパーなどでも見かけるようになった旬の食用菊。
    花弁を数枚ひらひらと普段のおかずに散らしたり、贅沢にたくさん使えるなら、錦糸卵の代わりに用いてちらし寿司にしたり。くるみ和えや梅肉和え、春菊やベビーリーフなどと一緒にサラダにしていただくなど、実はいろいろな使い方ができるすぐれものです。生でも茹でても、旬の味わいが楽しめる「ハレの食材」と言えるのではないでしょうか?

    菊の花と春菊のサラダ

    菊の花と小松菜のおひたし

    もってのほか!も取り寄せてみては?
    幸田露伴も絶賛です。

    その食用菊といえば黄色、と思いがちですが、淡い紫色をしたものもあるのをご存じでしょうか?
    その愛称は「もってのほか」。正式名称は「延命楽(えんめいらく)」というなんともありがたい名前の品種です。
    「天皇の御紋である菊の花を食べるとはもってのほか」「もってのほかなほど、美味しい!」など、この愛称で呼ばれるようになった理由は様々に語られています。かの幸田露伴(作家)も随筆の中で「実に美観であり、美味」と記しているようです。

    黄色の食用菊と少し違い、花弁が筒状に丸まっているので茹でてもしゃきしゃきとした歯触りが残るのが特長。ちょうど重用の節句の頃に収穫最盛期を迎えます。山形の名産として知られているので、取り寄せてみるのもいいですね。

    見た目に美しい菊花ですが、栄養的にもとってもGOOD!ビタミンAが多く含まれているので、パソコン作業やオンラインミーティングなどで目を酷使することの多い現代人にはとてもおすすめです。菊はもともと薬草で、漢方でも目に関連した不調に用いる植物として古くから活用されてきました。旬の時期ならではフレッシュな菊花はもちろんですが、もしももっと手軽に暮らしに取り入れたいなら、いつでも手に入る菊花茶などもぜひ。カモミール茶などに似た風合いのお茶です。ほのかな苦味がありますが、苦手な方はプーアール茶などとブレンドすると飲みやすくなります。

    健康と美は日々の暮らしから。
    免疫力の高いからだづくりを、これからも。

    美しい見た目と非日常で気持ちを潤わせ、その栄養が体を癒してくれる食用菊。
    日本古来の伝統芸能である能楽にも「菊慈童(きくじどう)」という演目がありますが、これは菊の霊験よって不老不死を手にした美少年の物語。菊に埋もれる庵の中で700歳になりながらも永遠に美しい少年が華麗に舞う神秘的な演目です。私たちも、700歳まで、とはいきませんが自然の恵みを旬の時期に上手にいただきながら、免疫力の高い体づくりを目指していきたいですね。

    (コラム)旬の菊と合わせて、旬の小豆もどうぞ。

    暮らしにメリハリをつけてくれる「非日常の食材」としておすすめした食用菊ですが、旬の「日常食材」としてこの時期食べたいのは「小豆」。
    食物繊維が豊富でポリフェノール、鉄分、サポニンなども多いので、エイジングが気になる方や、冷え性の方、ダイエットをしたい方などに特におすすめです。菊と同じように、漢方としても昔から活用されてきました。
    一番簡単な食べ方は「煮小豆」。鍋に水と小豆を入れて煮るだけで出来上がり!砂糖を入れずに作っておいて、ご飯や納豆に混ぜたり、甘酒に入れたり、かぼちゃの煮物に加えたり、チーズと合わせてトーストにのせたり、さまざまに食べられます。こちらもぜひ、お試しを。

    ▼ 小豆のおしゃべりはこちらから

    今回おしゃべりした方
    nouserさん