吉野ユリ子さんがはまった
朗読の魅力。

2020.05.29 更新

    肩書きはライフスタイルジャーナリスト。
    そのやわらかな微笑みからいつもホッとするような時間を届けてくれる吉野ユリ子さんは、編集者、ライター、商品開発コンサルティングなどさまざまなシーンで活躍されています。

    最近は、まだ幼い娘さんの育児で忙しい中、昨年から朗読を始めてはまっているとか。コロナ時代の新生活様式についてしきりにメディアが取り上げていますが、生活をポジティブに新しくするきっかけをいただきたいと思い、吉野さんがはまり始めた朗読の魅力を伺いました。

    一冊の本との出会いから広がっていく暮らし。

    草花木果:初めまして。実は草花木果が誕生した頃、吉野さんにとてもお世話になっていたんですよね。書き手というイメージの強い吉野さんですが、なぜ朗読を始められたんでしょうか?

    吉野さん(以下敬称略):草花木果がデビューした頃、実はパンフレットなどの原稿などを書かせていただいたんです! それからもう20年近くになるんですね。草花木果ブランドがここまで大きく育って、私も嬉しい限りです。

    朗読に出会ったのは、お仕事がきっかけでした。私は書評を長く担当していてよく出版社の方から書籍を送っていただくのですが、そんな一冊に「奇跡の朗読教室」(斉藤ゆき子著・新泉社)がありました。この斉藤ゆき子先生は「この声をきみに」というNHKドラマのモデルにもなった方です。

    思い返してみれば、私も幼い頃は国語の授業で教科書を読むのが大好きでした。でもすっかり忘れていて。書き手として仕事をしていると、文節や、思考の切れ目、主語述語の関係、形容詞の関連などを意識することが多いので、書き手の経験は読み手としても役立つと言われたことにも後押しをされて、先生のクラスに通い始めました。

    草花木果:お仕事で出会ったきっかけを大切に、暮らしをのびやかに広げていく。お忙しいのに、ただ「やらないとならないこと」だけでないことにチャレンジする姿勢に、自分自身を振り返ってドキッとします。声に出して読むことは、健康にもとても良さそうですね。

    朗読は、聞き手ファースト。
    自己中心的はダメ。

    吉野:声に出して読むといっても、音読と朗読とは違うんです。音読は、正しくすらすら読むもので、朗読はそれらに加え、その文章が持つムードや作者の意図などを表現していきます。

    朗読では、その文章の意味や登場する主人公の感情、著者の思いを聞き手にちゃんと届けることがゴール。とにかく聞き手ファーストで、自己中心的ではダメなんです。もちろんそこには、読み手の価値観や性格が出てくるので、読み方は変わるし、聞き手の方への届き方は同じにはなりません。同じベートーベンの曲でも指揮者によって表現が違うのと似てますね。私自身は普段書くことで終わる仕事が多いですが、書き終わった自分の文章も読み方ひとつ、また読む人によって全く違うニュアンスになることは、面白いな、と思います。

    人に向けたホスピタリティは、最終的には自分にかえってくる。

    吉野:聞いてくれる相手があって、その人に伝えることが目標なので、相手を想像して、その人にどう聞いてもらうかを考えた読み方でないといけないんです。自己中心的に読んでも、それは表情筋のトレーニングや肺を鍛えることにはつながるかもしれないけれど、ただそれだけとも言えます。著者や登場人物の気持ちを捉えて、その気持ちにあったスピードや大きさ、間の取り方、アクセント、言い方を考える。全部、聞き手へのホスピタリティで構成されていきます。人に向けたホスピタリティは、最終的には自分に全部かえってきて、豊かさにつながるんではないでしょうか。

    草花木果:素敵ですね! 朗読の経験は吉野さんのお仕事にもリンクするんでしょうか?

    吉野:書く仕事と趣味の朗読は基本的には分けて考えていますが、書く前に、書こうとする雰囲気に近い作品を読んだりすることがありますね。女性らしく、エモーショナルな文章を書きたいときは、そんなムードを持つ小説を朗読してから書くと、随所で言葉の選び方が自然に変わってきたりします。

    草花木果:難しそうですが、朗読、チャレンジしたくなりますね。

    吉野:それまで自己中心で会社や家族に疎まれていた方が、朗読を始めたら部下から信頼されたり、家族から愛されたり、なんていうこともあると聞きました。人間性も変わるみたいですね。「自分の話を誤解した!」「理解力が低い!」と相手を責める前に、「ちゃんと伝わるように話したか」ということを考えるトレーニングにつながったのかな。

    草花木果:いいですね!次回は吉野さんに朗読をどんな風に始めるか、伺います。お楽しみに。

    今回おしゃべりした方
    吉野 ゆり子さん

    ライフスタイルジャーナリスト/編集/ライター
    雑誌やWEBなどさまざまなメディアで、ライフスタイル全般に対しての発信を続ける。社会の縁までもつかむような鋭い視点と、読者に向けてのやさしい語り口がバランスよく融合する文章が人気。企業からの信頼も厚く、商品開発・コンサルティングなどの仕事も多数行う。4歳の女児の母としても奮闘中。