43歳の頃に女性初の樹木医となり、栃木県足利市内の「あしかがフラワーパーク」、静岡「はままつフラワーパーク」などを次々に話題にした立役者として知られる塚本さん。
「草花木果」というブランド名を掲げるわたしたちにとって、ずっとお会いしたかった憧れの存在。やっと、おしゃべりできました。
最近、空を見上げたことがありますか?
草花木果:今日はありがとうございます。なんだか、ここに到着してホッと気持ちがゆるんでいくような気がします。
塚本こなみさん(以降敬称略):今日は浜松までいらしていただき、ありがとうございます。お忙しい日々の中だと、このフラワーパークのように植物がたくさんある中で過ごされる時間も、なかなか取れないのではないでしょうか? 実は私も、55歳の頃に忙しすぎて倒れてしまったことがあります。入院もしたんですが、その時に窓から毎日雲を見ることがとても楽しいことに気づきました。
今日の雲は好き!今日は早いな〜、何かに似てる形だ!と病院にいるのに、わくわくして。それまでもずっと植物と関わる仕事で毎日屋外にいたのに、まったく空を見ていなかったんです。 今は、日々やらなければならないことに追われている方が多いように感じます。だからこそ、ぜひ生活の中にある非日常の時間が大切だと感じます。
草花木果:確かに私も、「深呼吸したのもいつだったかな」と考えてしまいます。どんな風に、非日常の時間を作ればいいのでしょうか?
塚本:60歳を過ぎてから畑も始めましたが、そこでの休憩する時は、地面に寝転んで空を眺めているんです。「あー、今、私は地球をおんぶしているんだ」って。そんな風に思うと、体も心も脳みそもスーッと解放されます。ぜひ試してみていただきたいですね。「はままつフラワーパーク」の中にも、近いうちに「寝転んで地球をおんぶする場所」を作りたいと思っています。
草花木果:それは楽しそう!自然の中に溶け込めそうです。
塚本:どんどん便利な世の中になって、人間は、自分たちも自然の一員ということを忘れてしまったのかもしれません。利便性は高まったけれど、それによって自分たち自身の命が脅かされている。植物たちは、木、草、草花、それぞれが自分たちの営みを実直に続けています。芽を出し葉を伸ばし花を咲かせ、実を実らせて種を残す。そういう営みの中に美しさがあるように思います。 みんな大自然の中で、もっと細胞を、感性を活性化させて欲しい。電磁波を溜めてばっかりじゃだめです。大地にもっと放出しないと!アースしないとね。
草花木果:私たちは、まさに「草」「花」「木」「果」という植物の営みをブランド名にしていますが、どう感じられますか?
塚本:よくこの名前にしたなあ、と思いました(笑)。植物の力をいただいて、女性たちに美しさを渡していただきたいですね。
草花木果:植物を化粧品に変える、その力をいただくことに「申し訳ない」という気持ちを感じることもあるんです。
塚本:いえいえ、植物はすべてを受け入れてくれるので感謝の念を持って使わせていただき、そして何かお返しをすることです。自然循環的な発想であればいいと思います。
草花木果:すべてを受け入れる植物の姿から、私たちは学ぶべきことがありそうです。
塚本:もの言わずすべてを受け入れ、台風も日照りも受け入れる。雨が降らなければ地面の下へ下へと水を求めて必死に根を張る。そんな風に自分の営みを必死で行う姿は素晴らしいし、美しいと思います。「あなたは全力で生きていますか?」「必死に生きていますか」と問われているようです。美人だけが美人ではなくて、一生懸命必死にがんばる姿こそが美しいと思うんです。
草花木果:なかなかすべてを受け入れられないかもしれません。何かあったら、抵抗してしまうかも…。
塚本:雷が落ちても、枝が折れても、虫が穴を開けても生き続ける。そういう営みに畏敬の念を感じていただけたら。大自然を尊敬し、恐れる。自分の力では抗えないこと、自分の力の及ばないことだから、畏敬の念を持つことができます。 私は、これまでたくさんの樹木と出会ってきましたがその中に「マイツリー」と呼ぶ、定期的に会いに出かける樹木があります。この木に出会うと自分の小ささに気づくことができます。そして、小ささに気づくだけでなく、自分がこのマイツリーにしてあげられることは何かと考えます。自分にできることを精一杯やって、この木にも他の木にも何かお返ししたいと考えます。もしも機会があったら、自分が何かを感じる木、話したい木を見つけてみてくださいね。
草花木果:探してみます!次回は、季節ごとの植物の姿など、伺います。お楽しみに。
こちらが塚本さんの「マイツリー」