西村さん、怒りの感情と、 美しさの関係を教えて!

2019.05.28 更新

    アンガーマネジメントファシリテーター西村綾子さんに伺う「怒りのマネジメント」第2回。今回は、特に怒りと美しさはどう関わっているのか、おしゃべりしました。

    人との関わりを尊重することが美しさにつながります。

    草花木果:怒りと美しさってどんな関係があるのでしょうか?怒っている時の自分は、あんまり美しくないな…と思うこともあるんですが、アンガーマネジメントは、美しくいるためにも必要なんでしょうか。

    西村さん(以降敬称略):怒りをマネジメントすること、つまり、自分の感情に責任を持てるようになることは、美しくあるためにも必要だと思います。例えば、本当は怒っているのに顔は笑顔、のように、自分の心と行動がズレていたら、その笑顔は美しいと言えるでしょうか?
    もちろん、ただ怒らなければいいということではありません。これを怒らなかったら後から後悔するな、と思うなら怒ればいいのです。そして、怒ったら後から後悔するな、と思えば怒らない。こんな風に、自分や周りの怒りに振り回されず、自分でコントロールできることは、心身の美しさや、人との関わりを尊重することにもつながると考えます。

    草花木果:人との関わりを尊重できるようになるためには、どうしたらいいでしょうか?

    西村:覚えていただきたいのは、怒りは単体で存在していないということ。氷山を想像してください。海面上に見えている氷山は、実は全体の1割くらいで、下部にはその9割が沈んでいると言われています。この、上に見えている部分が怒り。これを第二次感情と呼んでいます。その下に隠れている部分に、一般的に言うマイナスな感情、第一次感情が存在する、という構造です。第一次感情である、悲しい、苦しいなどの感情を伝えたいのに、うまく伝わらなくて怒りという感情で表現してしまうのです。本当は「怒っているんだ」ということを一番伝えたいわけではないですよね。こう考えてみれば、自分の怒りや、怒っている人に対しての見方も変わるのではないでしょうか。

    例えば、門限を破った子供に対して親は、「何やってたのっ!!」と、怒っていることだけを伝えてしまいがちです。でも本当は、心配だから怒っている、のですよね。「門限を守って欲しい。とても心配したのよ」とリクエストと第一次感情を伝えると、次からどうして欲しいのか、何に対して怒っているのかが、相手に伝わりやすくなります。自分が怒る時にも、相手が怒っている時にも、「この怒りの第一次感情はなんだろう」と意識してみてください。
    「この人は怒っている」から、「この人は何に怒っているんだろう」に見方が変えられると、自分や相手の気持ちを尊重しやすくなりますよ。

    「休ませる」「ととのえる」のは、アンガーマネジメントにも大切。

    草花木果:私たちは、肌を「休ませる」「ととのえる」の2つのアプローチから、健やかで美しい肌を目指すサポートしています。アンガーマネジメントの視点から「休ませる」「ととのえる」ことはどのように思われますか?

    西村:それは、とっても大切だと思います。良い睡眠がとれた日と寝不足の日だと、嫌なことに遭遇した時の腹の立ち方が違うことってありませんか?
    心も体も、休める時にちゃんと休ませる。ととのえる時にちゃんと、ととのえる。そうすることで、無駄なイライラを感じにくくなると思います。 自分が何のストレスもない状態で、誰かが不注意でぶつかってきても「危ないわねぇ」くらいで終わりますが、とても急いでいたり、直前に嫌なことがあって余裕がないと、「むかつくーっ」と、怒りが大きくなってしまうことも。出来事は同じですが、その時の自分の状態で、感じ方が変わってしまうこともあるのです。

    怒る、怒らないを決めているのは あなた自身。

    西村:私たちは、怒りの原因は自分の外側(誰か・出来事)にあると思いがちです。「あの人が私を怒らせる」というように。でも、そうではないんです。何か出来事があって、それを自分がどう意味づけするのかによって、「怒るか、怒らないのかを、自分で決めている」のです。
    例えば、「すれ違った同僚に挨拶した。同僚は挨拶を返さなかった」という出来事を、挨拶をされたら返すべきだ、と意味づければ、「なんで返さない」「無視した」と怒りが湧きます。聞こえなかったのかな、と、意味づければ、怒りは生まれませんよね。

    「怒るか怒らないかは、自分が選んでいる」という仕組みだからこそ、怒りの感情は自分でコントロールできる、ということなのです。 アンガーマネジメントは、心理教育、心理トレーニングです。怒りの構造や仕組みを学び、「イラっ」とするたびに対処の練習を繰り返すことで、怒りとの付き合い方が誰でも上手になりますよ。

    草花木果:ぜひ、私たちももっと深く勉強したいです!

    西村:自分の怒りの感情と上手に付き合えるようになれば、自分自身の行動や発言にも、責任を持てるようになっていきます。すべての感情を選択しているのは自分自身であることを理解し、怒りの感情で後悔をしなくなることで、心身ともに美しく、ととのえていくことができるのではないでしょうか。

    西村 綾子
    今回おしゃべりした方
    西村 綾子さん

    フリーアナウンサー、アンガーマネジメントファシリテーター。さまざまな価値観を持つ人がそれぞれに活躍する多様化された社会でこそアンガーマネジメントが必要になる、と精力的に活動中。 アンガーマネジメントの詳細はこちら
    一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 https://www.angermanagement.co.jp/
    西村さんのアンガーマネジメント講座、詳細はこちら https://ameblo.jp/nishimura-ayako