つい見惚れるような、咲き誇るお花たち。お花屋さんはもちろん、ウエディングなどのイベント会場、新オープンのお店の前などで見かけます。でも、そんな花々の30~40%もが、生ごみとして廃棄されてしまうことをご存じでしょうか? 今回は、そんな悲しい循環を断ち切るべく、すっくと立ち上がった河島春佳さんとの、おしゃべりです。
廃棄率、約30~40%という衝撃。
草花木果:そもそも、お花の廃棄という言葉が衝撃的で…。それほどに多いのでしょうか?
河島さん(以降敬称略):そうですね。一概には言えませんが、東京都内のデータ管理ができているお花屋さんの場合で約10%、老舗の店舗であれば約30~40%が廃棄になるようです。たとえばウエディングなどの場合、きらびやかに飾られた直後、撤収とともにお花屋さんが飾られていたお花を回収して、そのまま廃棄になるのが一般的です。お花屋さんも皆、心苦しさを感じながらも、どうにもならず、そのままになってきました。廃棄にかかる費用もお花屋さんの負担ですから、精神的にもコスト的にも負担になりますね。
草花木果:そんな中、お花のロスを少しでも減らしたいという想いで活動を始めた河島さんは、フラワーサイクリストという肩書だそうですが、どんなきっかけで始めたのでしょうか?
河島:実は、もともとお花に関わる仕事をしていたわけではなく、ファションのEコマースサイトでビジュアル制作の仕事に関わっていたんです。会社員として仕事をしながら、興味を持ち始めたドライフラワーを創る活動のワークショップをし始めたのが、お花とのなれそめ。土日を中心にドライフラワーのアーティストとして活動をするようになり、改めてもっと本格的に学びたい!と思い、お花屋さんで短期アルバイトとして働き始めました。
廃棄のショックで気づいた、自分のできること。
草花木果:パリにも修行に出かけたそうですね。
河島:そうなんです。たった1か月ですが、とても濃密な時間を過ごしました。そして、このパリ留学はクラウドファンディングで、周囲の人に支援をいただいて実現したんです。
草花木果:え?個人の留学に、クラウドファンディング?
河島:はい。実際に日本でお花屋さんで働き始めて、年末の12月25日まで華々しく店頭を飾っていた真っ赤なバラが、26日になったとたん、お正月モードになり数百本も廃棄されている現場を目撃して「これだったのか」と愕然としました。とてもショックでしたが、実は、それ以上にチャンスも感じたんです。ドライフラワーのアーティストとして活動していたので、私なら廃棄されてしまうお花を他の商品に生まれ変わらせてあげられるかもしれない、助けられるかもしれない、と思いました。 お花屋さんで働く前から「ロスフラワー」という言葉は考えていましたが、それが、自分の心の中にストンと落ちてきて、やるべきことがクリアになったようなイメージでした。 それで本格的にお花について学ぶために、初めは自分の力でパリ留学を考えたんですが、どうしても資金が足りなくて。でも、すぐに活動したかったのでクラウドファンディングを募集したんです。
人生で一番の勇気を出して。それでも始めたかった強い想い。
草花木果:個人の留学でクラウドファンディングは珍しいですね。応援してくださる方がいる反面、反発意見も出たのでは?
河島:そうですね。このクラウドファンディングが、人生で一番勇気を出したことかもしれない。留学資金を、友人や知らない方を含め周囲の方にお願いする。簡単に言えば「お金をください」と言うわけです。友人が減ってしまうのでは?と本当に不安でした。「その内容でクラウドファンディングするんだ」と否定的なことも言われました。でも結果的には、ネガティブな意見で傷ついている暇がないくらい、多くの支援をいただいて、前を向くことができたんです。支援をいただいた皆さんにきちんと報告できるような結果を出さないと、ということがいい意味でのプレッシャーになり、ガンガン動くことができたように思います。友達が減るかもしれないという不安よりも、留学せずにお花の道を選ぶことを諦める後悔の方が大きかったから、この挑戦に挑めたのかもしれません。実際友人から嫌われることもなく、むしろ交友関係が広がりました!
草花木果:すごい!その行動力はぜひ見習いたい!
前に進む力、扉を開ける力を持った河島さん。次回は、河島さんが考える植物の魅力、美しさなどを伺います。