アロマには、まだ私たちが知らないことだらけ。アロマ調香デザイナー®齋藤智子さんとのおしゃべりは、興味深いことやハッとする発見がいっぱいです。
脳科学者と共に、アロマの科学的な研究も進めている齋藤さん。いい香りということだけにとどまらず、エビデンスに基づいた香りの活用法を提唱されています。家庭、オフィス、リラックスタイムと、それぞれのシーンで香りの役割は違うそう。TPOやシーンに応じた賢い使い方を聞きました。
香りの楽しみ方は“簡単”がいちばん。 特別な道具は必要ありません。
草花木果:今回は、香りの楽しみ方を中心にお聞きしたいと思います。
齋藤智子さん(以降敬称略):自宅では、たとえば電気式のディフューザーなど特別な道具は、あまり使いません。ティッシュに数滴たらして置いておくだけで十分!アロマは思っていらっしゃるより手軽に楽しめます。
草花木果:そうなんですね。具体的に、ご自身のプライベートタイムではどんな楽しみ方をされていらっしゃいますか?
齋藤:よく使うのは、入浴時です。アロマを2、3滴お風呂にたらして、ゆっくり気持ちと身体をゆるめます。お肌が敏感な方は、小皿に精油を入れて浴槽のふちに置いてみてください。シャワーの時にはお風呂場の床に2、3滴たらして入るのもおすすめです。お湯をザッと流した時に香りが立ってすごく心地いいですよ。 他にも、アロマピアスやアロマネックレスをよく取り入れます。新幹線や飛行機で移動するときなどにも、ほんのり自分だけがアロマの香りを感じることでリラックスできたり、抗菌の精油をチョイスして快適に過ごしています。
草花木果:今のような季節の変わり目の時期におすすめの香りや活用法はありますか?
齋藤:気候が刻々と変わり、新しい環境などにストレスを感じることも多い4月から5月にかけては、肌も心も不安定になりやすく、ホルモンバランスのくずれも気になります。こんな時は、ベルガモット、オレンジスイートなどの柑橘系やフランキンセンスなどの香りが自律神経の安定を促して心身をサポートしてくれます。また、ユーカリは呼吸器系をクリアにして鼻が通るので、花粉症の方にもおすすめですね。私は、マスクに1滴たらしています。マスクは直接肌につくのが心配という方は、ティッシュに数滴たらして持ち歩き時々香りを嗅ぐといいのではないでしょうか。 暑くなってからは、すっきりとしたぺパーミントの香りがおすすめです。体感温度が下がり、涼しく感じられます。
香りの科学的な側面を 追い続けたいと思っています。
草花木果:いつも、アロマは種類が多くて何を選べばいいか迷っていたのでとても参考になります。ありがとうございます!天然の香りは、いろいろ役に立つんですね。
齋藤:そうですね。私は、アロマは香りを楽しむことはもちろんですが、プラスαとして科学的な側面も追い続けたいと思っています。未病ということを最近よく耳にしますが、気分をリラックスさせることや抗菌力で病気になる前に防ぎ、病後は体と心のバランスをとる。そういった補完医療の役目も、アロマが果たすことができると考えています。
たとえばラベンダーはアロマの香りとしてもとても有名ですが、実際に、鎮静作用が高くとてもリラックスできる香りですし、抗菌作用の高いオレンジは自律神経にも働きかけ、入眠しやすくなるという科学的なデータもあります。ティーツリーは免疫をあげ、風邪などのウイルスから予防効果で知られていますね。ティッシュに垂らして置いておけばその周囲は抗菌作用が働くので、お出かけ時に持ち歩いたりや、玄関や就寝時に使ってみてはいかがでしょうか。
草花木果:使い方次第で香りの世界は広がるんですね。でも、最近は無頓着な香りの使い方も増えて、香害というような言葉も聞かれます。香りの上手な使い方を、ぜひ教えてください。
シーンに合わせた香りを選ぶこと。 使い方のマナーも知っておきましょう。
齋藤:香りというのは自分をどう見せたいかという演出でもあります。時間帯やTPOに合った上手な使い方で、素敵な自己プロデュースをしてみるのもいいと思います。
草花木果:なるほど。シーンに合わせて使い分けることも必要なんですね。
齋藤:そうですね。そして、香りをつける場所にも気をつけてください。例えば耳の後ろや手首につける方が多いと思うのですが、食事をするときはやはりNGです。上半身につけると、テーブルの上で香りがたつので、食べ物の繊細な味わいが感じられなくなってしまいます。特に手は、テーブルの上で動かすことで、香りがまわりに広がるのでマナー違反。もしつける場合は足首や膝の裏、スカートの裾などに。香りは下から上がるので、足首や膝の裏は普段つける場所としてもおすすめです。
草花木果:食事の時の香りのマナーは、知らない方も多いんじゃないでしょうか。目からウロコのお話ばかりで、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。ありがとうございます。