3密という言葉を、誰もが覚えた今年。通気・換気に対しての意識も変わってきたように思います。暑さが落ち着き、窓から吹き込む風が心地よくなってきたこの時期、改めて「空気の流れ」についておしゃべりしましょう。
入りこむ空気の量は、 窓の開け方で変わります。
せっかく通気や換気を行うなら、部屋や空間にも深呼吸させるように、たっぷりの空気で入れ替えをしたいもの。 皆さんは、風や空気は小さい隙間から勢いよく入り、大きい隙間から出て行きやすいという性質があることをご存じですか?
この特徴を利用して、風の向きを確認しながら、外から空気が入ってくる場所は小さく開けて、空気の出口は大きく開けると気持ちいい風が通りやすくなります。 もしも窓が1つしかない時は、部屋のドアを開けて、扇風機などを窓の外に向けて動かすと綺麗な空気へと入れ替えやすくなります。つい扇風機を部屋の内側に向けて動かしがちですが、この方向だと、外の空気が入ってきても、部屋の中の汚れた空気がそのまま留まってしまう可能性がありますので要注意です!
窓がないようなスペースでも、換気扇を動かしながら、その換気扇からなるべく遠い場所で空気の出口に向けて扇風機を回すなど併用すると、効果的に風が動き始めます。
エアコンをつけていても 油断は大敵です。
ここまで聞いて、「うちは秋でもエアコンをつけているし、換気も大丈夫!」と思っている方も、ちょっとお待ちを。 最近では換気機能付きの高機能エアコンも増えてきていますが、まだすべてのエアコンにその機能が付いているわけではありません。多くのエアコンは、部屋の中の空気を吸い込み、その空気の温度を冷たくしたり暖かくしたりと調整をした後に、部屋に戻して環境を整えています。
つまり、外のフレッシュな空気とやりとりをしているわけではないのです。今一度、お使いのエアコンを調べてみた方がいいかもしれません。いずれにしても、暮らしているスペースの全てにエアコンがついているわけではないので、窓を上手に開けたり扇風機を使いながら毎日上手に通気・換気をする習慣をつけていきたいですね。
この秋は、風の見える化を楽しんでみては?
最後に、まだまだ続きそうなコロナ禍に、通気・換気の方法を見直すとともにおすすめしたいのが「風の見える化」。 少し季節は過ぎましたが、夏の風鈴は「風の聞こえる化」と言えるかもしれません。その日その日で違う風鈴の音に癒されたように、秋も風が通る様子を何かで楽しみたいもの。
たとえば、いい香りをふんわりと運ぶお香を取り入れて、いつもの空間をその日の気持ちでコントロール。窓を開けてお香を焚く、というところまでを一連のルーティンとすると、より1日が豊かに過ごせそうです。 他にも、窓のそばにお気に入りのモビールなどを吊して揺れるインテリアを目で楽しむのもいいですね。
コロナで注目され始めた通気・換気ですが、空気の入れ替えが上手に行われないと、酸素濃度が下がり気分が悪くなったり、粉塵が蔓延してアレルギーを引き起こしたりします。つまり、風通しのよい住まいは、健康の絶対条件(人間関係でも、風通しの良さ、は健康のための必須条件ですね。笑)。
昔の日本は、建築方法などでも「風通し」を考えた暮らしを追求していましたが、昨今はテクノロジーの進化とともに「気密性」を高めることばかりに意識が強く向かっていたように思います。ここで改めて原点に帰り、日本の自然の中で風通しよく暮らすコツを、さらに知っていきたいですね。