日本一の紅花産地山形の「紅花まつり」へ。
紅花愛を、体感!

2019.08.15 更新

    紅花畑が広がる景観が、日本遺産に認定されている山形県高瀬地区。紅花を愛する地元の皆さんに歴史や活用法を聞いてきました。草花木果のメイクアイテムにも欠かせない紅花。
    その秘密をおしゃべりします。

    ジブリ映画『おもひでぽろぽろ』の舞台、高瀬地区の紅花まつりへ。

    山形は紅花の名産地で、1982年には県の花に指定されたほど。歴史を遡ると、室町時代に伝わったとされていますが、栽培が拡大したのは、江戸時代中期から後期にかけてで、最上川流域で盛んに栽培されました。
    日本の特産物の番付を決めた「諸国産物見立相撲番付」では、東の関脇が「最上紅花」で、西の関脇が「阿波の藍玉」とされていたほど。江戸時代は、この二つが二大染料だったのです。

    今回訪れた高瀬地区は、紅花畑の景観や紅花まつりが日本遺産に認定されている、紅花の里。のどかな里山は、1991年公開の高畑勲監督によるジブリ映画『おもひでぽろぽろ』の舞台になったとか。アニメを観た人ならきっと、「ここだー」と感激する高瀬の無人駅。見渡すと、日本の原風景そのものの、懐かしい景観が広がっています。この地区の紅花まつりは、今年で34回目。アニメの主人公、東京からやって来たタエ子も夏の高瀬で紅花摘みをしていましたが、紅花はすっかり里の風物詩として定着しています。

    地元の方たちの紅花への思いがこもった、手づくりのおまつり。

    当日は、駅に着くと地区の皆さんが笑顔でお出迎え。シャトルバスでまつり会場へと連れて行ってもらいました。バスガイドは、地元の高瀬小学校の児童たち。その可愛いガイドぶりに思わずほおが緩みます。
    到着した会場の隣は、一面の紅花畑! 咲き誇るその姿に、しばしうっとり。まさに、紅花の里と呼ぶのにふさわしい景色を見ることができます。おまつりでは、「紅花染め体験」や「紅花摘み体験」「紅花娘との写真撮影会」など、地元の方の手づくりのイベントに、私たちもたちまち夢中に。

    紅花のすべてを楽しむ。滋味深い紅花料理。

    驚いたのは、会場で振舞われていた紅花料理。地元の方には珍しくないもののようですが、私たちは食べるのは初めて。煮物をいただきましたが、山菜のような風味で、おばあちゃんの味のような、懐かしく奥深い味わいでした。
    レシピカードも配られていて、煮物や炊き込みご飯、天ぷらなどのオーソドックスなメニューから、「蒸し鶏と紅花若菜のグリーンソース」と行った創作料理や「紅花寒天」といったデザートまで。畑で間引いた紅花を食用にするとのことで、そこには、染料となる花びらだけでなく、紅花を余すことなく活用する知恵があふれていました。

    本当に難しい紅花栽培。
    農家の方の努力に頭が下がります。

    この高瀬地区で、振興会の会長として町を盛り上げている滝口孝一さんに、紅花のお話を伺いました。
    紅花の栽培が、最上川流域で盛んになったのは、江戸時代、舟の運送で山形と京都や大阪が深く結びつき、紅花商人たちが活躍したことが大きいと言われていますが、現在まで続いているのは農家の努力が大きかったようです。

    「紅花は、連作障害になりやすく毎年場所を変えて植えないといけないんです。昔、最上川流域で栽培が盛んになったのは、毎年川が氾濫して土地質が変わり、連作障害が解消したことが大きかったと思います。今では、さまざまな対策でほとんど水害がないので、毎年場所を変えて植えています。

    また、紅花の根は牛蒡根といって直線で下に伸びているので、苗植えができず、毎年種から育てないといけないんです。育てるのが難しいので、栽培を継続しているところは少なくなってきています」

    なるほど、紅花が希少なはずです。日本の美しい紅色は、多くの人の努力の賜物。大切に伝えていかなければ。心からそう感じました。

    いつか、紅花栽培を世界遺産に。
    日本の紅を伝えたい。

    「高瀬は、紅花を染料とする加工システムが確立していて、産業として成り立たせています。これは、世界でも稀に見るシステムなんです。今年の1月には、日本農業遺産として正式に登録されました。私は、世界遺産も目指しています」
    ぜひ、世界遺産登録!のニュースを耳にしたいです。

    次回は、草花木果の化粧品に生かされている、紅花の美しさの秘密をおしゃべりします。

    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

    山形紅花まつり


    地元で作る地元の人のためのおまつり。
    毎年7月中旬に行われる。紅花娘をモデルにした撮影会や 紅花染め、花摘み体験などができる。
    今年で第34回目という、歴史あるおまつり。

    今回おしゃべりした方
    nouserさん