CRAFT ORGANIC 産地旅〈大分・院内町篇〉
ゆずの実りを体感しに、再び佐藤さんと。

2022.12.09 更新

    2022年6月に誕生したCRAFT ORGANIC(クラフト オーガニック)も、おかげさまでたくさんの方に使っていただいています。ユズ・ヒマワリ・ツバキの種子油をベースにしたヘアケアは、美髪へととのえる機能はもちろん、こころまで気持ちよくケアする香りも特徴的。
    今回は、ブランドアンバサダーとして活動してくださっている青柳文子さんと、ゆずの生産者としてブランドを支えてくださる佐藤さん夫婦とのおしゃべりを紹介します。今年の初夏、ゆずの花が咲く頃の出会いを経て、お久しぶりの再会です。

    ゆずと一緒に、季節が巡ります。

    青柳文子さん(以降、敬称略):お久しぶりです!お元気ですか?またお会いできて嬉しいです。やっぱり大分は自然がいっぱいで心地いいですね。
    佐藤敏昭さん(以降、敬称略):よく、いらしてくれました。またお会いできて嬉しいです。今年はゆずが不作だったのですが、それでも一生懸命実をつけてくれています。前回来ていただいて、見るだけでなく食べてもらったゆずの花たちが、こうやって実になりました。とっても愛おしいですよね。ちょっと収穫してみませか?
    青柳:えー、いいんですか?とっても嬉しい。初めてです。
    佐藤:僕の使っている革手袋ですが、どうぞ。

    佐藤:ゆずの実の軸は、「2段切り」します。
    まずは木から外すために少し長めに。もう一度、短めに切ります。
    軸が長く飛び出したままだと、収穫して箱に詰めた時に実と実が重なってゆずに傷をつけてしまうので、それを防ぐためです。トゲが長くて固くて強いので、そこに触れないように気をつけてくださいね。

    青柳:うわー、とっても楽しいです。1つひとつ、熟し方を目で確認しながら収穫していくんですね。

    青柳:うわー、とっても楽しいです。1つひとつ、熟し方を目で確認しながら収穫していくんですね。

    佐藤:はい。陽のあたり方、風の通り方などの違いで、同じ農園内でも、木それぞれ、実それぞれに自由にのびのびと成長しています。
    もしも普通の流通にのせようとすれば、どうしても熟れる前の硬いうちに収穫する必要があります。でも、僕はうちのゆずの作り方を理解して、尊重してくださるお客さま一人ひとりとの直接の取引なので、一番いい状態まで完全に熟れたゆずを出荷します。だからもしも軸が長いままだと、ゆずの実に傷がついてしまってすぐに腐ってしまう。注意が必要です。

    青柳さん、ぜひ収穫したてのゆずの果皮油シャワーを浴びてみませんか?すっごくいい香りがするんですよ。

    青柳:くぅぅぅ。めちゃくちゃいい香りです。すっごく癒されます。皮に、こんなにいい香りが含まれているんですね?

    佐藤:そのままぜひ皮を剥いて食べてみてください。もちろん酸味はありますが、僕のつくる「ほんもののゆず」は、作られた味ではなく自然そのものの豊かさがそのまま凝縮しています。農薬を使わない特別栽培の味です。本当においしいですよー。料理にもいいし、ゆず胡椒やゆず味噌もいいし、皮を干してゆずピールにするのも最高です。農薬の影響がないから、まるごと全部、安心して食べていただけます。

    自然の恵みと、みんなで一緒に。

    佐藤:あとね、僕の農園の土を触ってみてください。
    ふわふわで柔らかいでしょう。これは、化学肥料を使わずに土をしっかりととのえているから。
    栄養剤などを入れてしまうとどうしても土がカチカチになります。この土づくりも、僕の仕事の大切なポイントです。
    牡蠣殻や干したイワシ、骨粉など自然由来の有機肥料で大切に土をつくっています。

    青柳:私も庭でいろいろ植物や野菜を育てているんですが、有機肥料を植物の根元のあたりに足していくといいですか?

    佐藤:木から少しだけ離れたエリアに肥料を足すといいですよ。1メートルくらい離すといいかな。僕の農園では「呼び肥」と言っていますが、ゆずの木と木のちょうど中間あたりに肥料を足します。そうすると、その肥料を求めて根っこがぐぐーーんと伸びてくるんです。植物の成長力ってすごいです。

    青柳:面白いです!うちでもやってみます。

    佐藤:僕たち夫婦も年齢を重ねてきましたが、とにかくずっとゆずを育てながら、集落のみんなと楽しく語らいながら生きていきたいと思っています。
    大きいことをするのは無理だけど、その地区に住んでいる人が今から5年、10年、15年を生きがいを持って暮らし続けることは、一つの素晴らしい地域起おこしになると思っているんです。

    自活できなければ楽しくは暮らせない。僕たちの集落も人がどんどん減っていて、今では8世帯15人です。平均年齢は70歳くらいかな。確かに高齢者ばかりではありますが、ゆず生産を1つの軸にしながら地域みんなと楽しく暮らしていきたいな、と思います。

    青柳:この地域はオオサンショウウオでも有名ですよね。

    佐藤:そう、確かにここには日本本来の固有種であるオオサンショウウオがいることで知られていて、研究者の方が訪ねてきたり、観光のためにもっと活用しようという動きなどもありました。それもとってもいいことです。
    でも、一気に大きく何か作ったり仕掛けたりするだけが地域おこしではないとも思います。大きいことも上手に進めてもらって、僕たち地元民は暮らしという軸で、自分たちならではの規模感で地域おこしを考えるのがいいのではないかと。

    青柳:素晴らしいですね。特別な何か、ではなく、日々の暮らしを充実させることからの地域おこしには、未来へのヒントがたくさんあるように感じます。

    佐藤:来年にはね、家のすぐ前のゆずの木からも実が収穫できるようになるんです。少し前に若い木を新たに植えました。これまで育ててきた50年もののゆずたちとは違う、フレッシュな味を食べられると思いますよ。

    もともと自家使用の米などを育てていた場所を新しくゆず農園にしたのは、これからどんどん歳をとって足腰が弱くなって、山の斜面にある広い農園を管理できなくなったとしても、ゆずの生産を命のある限り続けていきたいから。ずーっとゆずと一緒に生きていきたいと思っています。

    青柳:佐藤さんとお話しさせていただくと、いつもたくさんの学びがあります。ずっとゆずと暮らしていく。とっても素敵です。

    佐藤:こうやってゆずを作り続けるのも、食べてくださったり、CRAFT ORGANICのように活かしてくださる方がいるからです。みんなで一緒に、上手に自然の恵みを循環させていけたらいいですね。ぜひ引き続き、一緒に活動していきましょう!

    青柳:よろしくお願いします。私も、自分にできる規模感で自然と向き合って、関わって、楽しい暮らし方をしていきたいと思います。

    今回おしゃべりした方
    nouserさん